『仁術」と「算術」

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   もう直ぐだなあ~
   はやくおいで。




儒教では、人の常に守るべき徳目として、仁・義・礼・智・信の五つを挙げています。

五常の最高の徳が仁であり、その仁を行なうのが仁術です。
仁は、仏教の大慈と同じです

医は仁術なり。江戸前期の儒学者、貝原益軒は「養生訓」で、「医は仁術なり。仁愛の心を本とし、人を救ふを以って志とすべし。わが身の利養を 専に志すべからず。天地の生み育て給える人をすくいたすけ、萬民の生死をつかさどる術なれば、医を民の司命という、きわめて大事の職分なり」と記しています。

古も「医は仁術なり」を患者に施していた医者も多くいただろう。現代も多くいるでしょう。

しかし最近は、この言葉も死語になったのかと思わせる、事件や事故が多くなっているような気がする。

今や医療過誤や医療事故の報道も、珍しいことでもなくなり、我々もあまり驚かなくなってしまった。

少し前には、医者の過剰がメディアで盛んに報じられていたように思ったのだが、最近は医者不足が問題になっている。

不思議に思っていたら、意外なところでヒントが見つかった。勿論これが正解ではないと思いますが。

身内がある病で入院することになり、毎日病院通いをしていたある日、
医院や診療所などの多さに気づいたのです。普段は全く気づかない別の風景でした。

歯科医院の多いのは知ってました、なにしろ家人3人共別の所へ通ってましたから、それぞれは、道路を挟んだ向いとその直ぐ先でした。

ところが、内科、外科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科など沢山あって驚いたのです。コンビ二より食堂より多いのです。

そこで、開業医が多くなって勤務医が少なくなったと、こじ付けて見ましたが、如何でしょうか。
激務の割りに報酬が少ない勤務医より、開業医を選択する気もわかりますが、開業すればそんなに儲かるの?という疑問もあります。
後継ぎなら分かりますが、そうでない場合、相当な先行投資が必要になると思いますが。

ま、余計な詮索は止めておきます。医者に限らず世は算術流行ですから。
さて、このお方の算術には狂いが生じたようです。

ベストセラー「脳内革命」の著者で、田園都市厚生病院(神奈川県大和市中央林間、260床)を経営する春山茂雄院長と院長関連の6法人が26日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。
負債は、春山院長個人分が約18億6000万円、6法人分が約63億円の計約81億6000万円。

一報だけで詳細は分かりませんが、春山氏は医学者、医師というより、事業家だったのでしょう。病院経営以外にも、色んな事業に手を出していたと言う事ですから、かなりの野心家でもあったのでしょう。

企業の破算、倒産は珍しいことではない。といっても、社員の方々に取って死活問題になり誠に悲惨な状態になるわけです。

ましてや、病院ともなれば、患者さんがいるわけで、破算して我が身を隠して、捲土重来を期する腹ではないだろうな。

春山氏はまた、96年に「脳内革命」がベストセラーになったが、98年に東京国税局から約6億5000万円の所得隠しを指摘されたことが発覚している。生まれつき算術に長けていたのであろう。この度は算盤が狂っただけか。

最後に「医は仁術」とはこの事なりという、実例をあげておきます。
NHK プロフェッショナル・仕事の流儀 という番組で紹介された、脳神経外科医の上山博康さん。
番組をご覧になった方もおられると思いますが。

上山医師は脳血管系の第一人者です。例えば脳動脈瘤は必ず破裂するとは限らないそうだが、ひとたび破裂すると半数が死に至ると言われています。
破裂を未然に防ぐために手術するのだが、後遺症のリスクがあるため、その判断は簡単ではなく、手術を受けるかどうか、患者や家族に判断が委ねられるため悩む人が多いのです。

だが上山医師は、不安を抱えた患者に対して、「大丈夫だ」と言い切ります。手術のリスクを説明したうえで、後遺症なく治すことを約束し、手術の結果に責任をもつことで、患者の負担を和らげるのです。

「患者は人生をかけて医者を信頼する。その信頼に対して医者は何ができるのか。自らもリスクをとって五分と五分の関係を築くこと、それが礼儀だと思う」
万が一の場合、患者側から訴えられる可能性も否定できないのですが、覚悟を持って言い切るのです。

人生をかけてやってくる患者に対して、正面から向き合うことを信条としている上山医師ならではでしょう。

上山医師のもとには手術を依頼する手紙やメールが、月に100通近くも届くそうである。上山医師は、仕事の合間を利用して、その全てに目を通す。

患者からの手紙には、人生の歩みや家族への思いなどがつづられているからである。
返信も人任せにはしない。仕事を終えた深夜の時間を利用して自ら返事を書く。睡眠時間は一日4時間。上山医師は、そんな生活をもう30年も続けているのである。

日本には誇るべきの脳外科医が二人います。
神の手と賞賛されている、 脳腫瘍手術の福島孝徳 医師(アメリカ・デューク大教授)
そして匠の手と賞賛される上山医師である。
勿論、他にも沢山おられるでしょう。

プロフェッショナルとは…
「過去から通した生きざまで、自分を好きでいられる生きざまを貫くこと。それが僕は本当のプロだと思っています。自分を偽らないということですね」上山博康。(NHK番組紹介欄から一部引用しました)

当に「医は仁術」ここにあり。


医者の世界は、学閥、派閥、師弟制度など、我々が想像する以上に住み難いのかも知れません。その束縛から逃れて自由に、患者と接してみたい医師が増えるのも、仕方のないことなのかも知れない。

しかし、そこをなんとか改革して、上山医師のように、「自らもリスクをとって五分と五分の関係を築くこと、それが礼儀だと思う」という、医師が多くなることを願っています。

でもこれは難しい。先生と患者は、五分と五分とは行きませんから、患者も意識の改革が必要でしょう。







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